今回はパルス波を利用するエラストグラフィの手法、ARFI imagingの原理がテーマです。
ARFI imagingを一言で言うと、
「超音波のビームを生体に発射して生体に当たった時に起こるわずかな変形を測定する」という原理です。
生体内に超音波ビームを照射すると、超音波ビームの焦点付近で音響放射力(インパルス)が超音波の伝搬する方向に働きます(図 1)。
この時、軟らかい組織では大きな変位が生じますが、硬い組織では変位が生じにくくなります。
同じ力を加えた時、柔らかいものの方が変形しやすいことを考えると想像しやすいのではないでしょうか。
この変位の量を超音波によって計測するのがARFI imagingです。
音響放射力インパルスによって生じる組織変位は数 μm (1/1000 mm)と非常に小さいため、通常はドプラ法によって加圧前後の超音波信号の位相差から変位を計測します。
音響放射力が作用する範囲が生体内で一定だとすると、この時の変位は加圧前の自然長からの伸縮量、つまり歪みに相当します。
よって,この音響放射力による変位計測を生体内の各点で計測することにより変位分布が得られるのです。
Strain elastographyと同じように、音響放射力による変位もその音響放射力の強さによって変化します。よって、変位のみでは絶対的な硬さの値は得られません。
ただし,音響放射力の強さが生体内でほぼ一定と仮定すれば,変位分布から定性的な硬さ分布を評価することが出来ます。
ARFI imaging の長所は、
・音響放射力により生体を加圧するので検査者の技量に依存し難い
・ある程度深い部位でも加圧できるので変位分布を計測出来る
短所は
・ひずみ分布と同様に定性的な硬さ情報しか得られない,
・音響放射力を発生させるために強力な超音波を照射する必要があるため、計測可能な部位が制限される
・リアルタイム計測が出来ない(計測ボタンを押した瞬間の変位分布しか計測出来ないので)
といったことが挙げられます。
図1 ARFI imagingの原理
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