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Strain elastography の原理

前回、エラストグラフィは原理によって測定方法が異なることをお伝えしました。

今回からは各方法について原理から詳しく学んでいきましょう。





今回は最も使用されていると考えられる、Strain elastographyについて考えます。

1990年頃から始まったStrain elastography(ストレイン エラストグラフィ)は、いわゆる「歪み」を利用しています。

プローブを使った用手的な加圧・加振や心拍などの体動によって励起される生体組織の歪みを検出して画像化するものです。


プローブと垂直に、ごくわずかな力で組織の歪みを励起する動きを加える手法です。

これによって偏移の方向は超音波パルスの伝搬方向に並行な成分が大部分となるため、組織の変形が一次元バネモデルで近似出来ます。


こうした近似が可能であるとすると、フックの法則によって歪みは相対的な「硬さ」を表すことになり、組織弾性を評価する上で有用な指標になる、ということです。

生体組織に対して加圧を行うと、生体内の各点が移動します(図1を参照)。

この時の移動量(=変位)を超音波にて計測しているのです。






変位計測の方法にはいくつかあり、

① 用意した特定の画像を照らし合わせるテンプレートマッチングによる空間相関法、

② 変位前後の位相差から計測する自己相関法

③ ①、②を合わせた複合法

に別れます。


この方法で気を付けるポイントは、歪みの値は加える力に応じて変化することです。

歪み値のみでは絶対的な硬さの値は得られません。

しかし、1つの画像内では歪み分布は硬さの分布を反映しているので定性的な硬さ分布の評価が出来るのです。



Strain elastography の長所としては、

① 計測のフレームレー トが 10f/s 以上あるのでリアルタイム性に優れている。

② 病理切片における病変の広がりと歪み分布の対応関係が良いこと。


短所としては、 

① ひずみ分布は定性的な硬さ評価のみで、絶対的な硬さの値がわからないこと。

② プローブの加圧を検査者が行うため、検査者の技量に依存する。

③ 硬い腫瘍の上下などに応力集中が起こると部位が軟らかく表示されてしまう。


といったことが挙げられます。


参考:超音波エラストグラフィの原理(https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/40/2/40_73/_pdf

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